個が立ち、 つながりによって 強くなる。

テンセグリティ ― 自律協働のかたち

福井鐵工が掲げる行動規範

を具現化した、

エントランスオブジェ

Our Values

このオブジェが伝えること

このオブジェは「テンセグリティ構造」と呼ばれる構造体です。
それぞれの部材は互いに直接支え合うことなく、引っ張り力と圧縮力が全体として釣り合うことで、ひとつの安定した形を保っています。

一本一本の部材は独立し、自らの役割を果たしています。
しかし、どれか一つが欠けたり、力のバランスが崩れたりすると、全体は成り立ちません。
自律した要素が、見えない力でつながり、全体として機能する。
それがテンセグリティ構造の本質です。

福井鐵工が掲げる行動規範「自律協働」も同じ考え方です。
一人ひとりが自ら考え、責任を持って行動する。同時に、互いを信頼し、支え合い、全体最適を目指す。
このオブジェは、「個が立ち、つながりによって強くなる組織」――その姿を、かたちとして表現しています。

Structure

テンセグリティ構造とは

このタワーのアルミパイプは、互いに接触することなく、ワイヤーの張力のみで空中に浮いたような形態を維持しています。構造が成立しているのは、ワイヤーがパイプを引き寄せる力(引張力)と、パイプがその力に抵抗する力(圧縮力)が、全ての部材で同時に釣り合っているためです。
ワイヤーは組み立て時に所定の張力をかけられ、常に引張力を保ち続けます。この引張力と各パイプの圧縮力が全体として均衡することで、構造全体がひとつの安定した形を維持しています。

テンセグリティ構造の力の均衡を示す図

部材同士は一切接触せず、引張力と圧縮力の均衡のみで成立する

この構造は「テンセグリティ(Tensegrity)」と呼ばれます。「Tension(引張力)」と「Integrity(統合)」を組み合わせた造語で、部材に引張力と圧縮力のみが作用するシンプルな力の伝達により、少ない材料で高い構造効率を実現できます。一般的な鉄塔や橋梁が部材同士の接触で荷重を伝えるのとは、根本的に異なる構造原理です。

パイプがワイヤーの網の中に浮かんでいるように見えるのは、パイプ同士が直接支え合う必要がないためです。精密に設計・調整された力の均衡が、重力を感じさせないこの独特の造形美を生み出しています。

Story

プロジェクト発足の背景

慶應義塾大学SFC 鳴川研究室との共同研究の様子

慶應義塾大学SFC 鳴川研究室との共同研究(中央マスク姿が鳴川肇准教授)

01.

2024年11月、新事務所が竣工しました。
エントランスをどう彩るか――最初はフェイクグリーンを置く案もありましたが、「せっかくなら、私たちが目指す姿を形にしたい」という想いから、会社方針「自律協働組織への進化」を体現するエントランスオブジェの検討が始まりました。
日本における幾何学構造研究の第一人者・慶應義塾大学SFCの鳴川肇准教授を訪問。テンセグリティ構造が「自律・協働」の理念とぴったりと重なることを確信し、2025年1月に共同研究契約を締結しました。

木製模型による構造検証の様子

1/3木製模型による構造検証。2つのデザイン案を比較検討

02.

開発は、まず1/3スケールの木製模型を試作することから始まりました。デザインの確定、詳細設計、そして試作検証へと、約1年半にわたり一歩一歩丁寧にプロセスを進めていきました。

3Dプリンタによる接合部パーツの試作

3Dプリンタによる接合部パーツの試作

試作パーツを用いた実寸模型による検証

試作パーツを用いた実寸模型による検証

圧縮材の端部パーツ試作品

圧縮材の端部パーツ(試作品)

03.

接合部の形状検討には3Dプリンタを活用。繰り返し試作・改良を重ねながら、最適な部品形状を追求しました。この端部パーツは将来のメンテナンスを見据えた構造とし、完成後も社員が自社のインフラ保全技術を活かして維持管理を続けていく――「作って終わり」にしないものづくりへの思いが込められています。

Supervisor's Comment

慶応義塾大学SFC 鳴川肇准教授より

テンセグリティは1962年に建築構造物として発明されました。アメリカの思想家、発明家のバックミンスター・フラーによる未完の発明です。それ以来64年、数多くのエンジニアと建築家を魅了してきました。
しかし、フラーも含めて建築物として実現した事例はほとんどありません。建てるのが極めて難しい構造だからです。建てるには数多くのワイヤーに適正な張力を導入しなければなりません。そして、その引張で数多くの棒を空中に係留しなければなりません。理論的には優れていても、どう実現するのか、技術が大きく欠けていました。
本案件は、その技術を愚直に模索し、設計を福井鐵工と共に行いました。その設計にはワイヤー長、張力導入、タワーの傾き制御が可能な組立て方が含まれており、64年来の技術的課題に真摯に向き合った取り組みの結晶が、このオブジェです。

慶応義塾大学SFC 准教授 鳴川肇

Timeline

構想から
完成までの歩み

PHASE 01

研究・企画

  • 202410

    慶應義塾大学 鳴川肇研究室を訪問。共同研究を打診

  • 20251

    共同研究契約を締結

PHASE 02

設計・試作

  • 20252

    1/3スケールの木製模型を試作

  • 20254

    オブジェデザインの確定

  • 20256

    3Dプリンターを用いた端部パーツ試作

  • 20257

    基本構造の確定、実寸模型の試作

  • 20258

    詳細設計開始、架設方法の検討

  • 202512

    アルミ製端部パーツの試作・検証

PHASE 03

製作・設置

  • 20261

    ワイヤー耐久試験の実施、詳細設計の完了
    製作材料の調達

    Special Thanks(調達協力業者様)
    • ワイヤー材料:株式会社鎚絵
    • アルミ圧縮材:株式会社西鋼
    • オブジェ台座:吉岡幸株式会社
  • 2026320日~

    エントランスにて組立・設置作業を実施

  • 2026322

    エントランスオブジェ設置完了

Collaboration

産学連携・協働の記録

設計・製作は、福井鐵工の社員と鳴川研究室の学生たちが共同で行いました。幾度もの試作や検証を重ねた約1年半のプロセス自体が、まさに「自律協働」の実践でした。

プロジェクト完遂を祝い、製作メンバーで記念撮影。前列:福井鐵工社員、後列:鳴川肇准教授・鳴川研究室学生

協働設計・製作
福井鐵工株式会社
協働設計・監修
慶應義塾大学SFC 鳴川肇研究室
メディア掲載
  • 2026年3月31日|日刊建設工業新聞 掲載
  • 2026年4月8日福井新聞 掲載

Our Team

私たちのチームと未来

2026年4月の入社式にて、完成したオブジェを囲んで撮影した一枚です。
「自律・協働」の精神を宿したこのシンボルとともに、福井鐵工はこれからも次の時代へ向けて歩みを進めていきます。

完成したテンセグリティオブジェを囲む福井鐵工の社員

2026年4月、完成したオブジェとともに、未来への一歩を歩み出す

自律し、協働する。
それが、福井鐵工の姿です。

一人ひとりが自ら考え、互いを信頼して行動する
そんな「自律協働」をともに体現する仲間を、私たちは求めています。